ねんどきょう せきへきかいこ念奴嬌・赤壁懐古
大江東去
浪淘尽 千古風流人物
故塁西辺 人道是 三国周郎赤壁
乱石穿空 驚濤拍岸 捲起千堆雪
江山如画 一時多少豪傑
(中略)
人生如夢 一尊還酹江月
※日本で一般に読まれている本文によります。長編のため、有名な部分を抜粋して掲載しています。
書き下し文
大江 東に去り
浪は淘ひ尽くす 千古風流の人物
故塁の西辺 人は道ふ是れ 三国周郎の赤壁と
乱石 空を穿ち 驚濤 岸を拍ち 捲き起こす千堆の雪
江山 画の如し 一時 多少の豪傑ぞ
(中略)
人生 夢の如し 一尊 還た江月に酹がん
現代語訳
大河は東へ流れ去り、その波は千古の風流な人々を洗い流してしまった。古い砦の西のあたり——人は言う、ここが三国の周瑜が戦った赤壁だと。乱れた岩は空を突き、驚くような波が岸を打ち、雪のような水しぶきを巻き上げる。江山は絵のようだ——一時、どれほどの豪傑がいたことか。遥かに想う、公瑾の当年。小喬を娶ったばかりで、雄々しい姿が輝いていた。羽扇に綸巾、談笑しているあいだに敵の船団は灰と煙に消えた。故国を心に巡らせば、多情な私を笑って「早くも白髪か」と言う人もいよう。人生は夢のようだ——杯の酒を、もう一度江の月に注ごう。
原文と書き下し文の対照
大江東去 ― 大江 東に去り
浪淘尽 千古風流人物 ― 浪は淘ひ尽くす 千古風流の人物
故塁西辺 人道是 三国周郎赤壁 ― 故塁の西辺 人は道ふ是れ 三国周郎の赤壁と
乱石穿空 驚濤拍岸 捲起千堆雪 ― 乱石 空を穿ち 驚濤 岸を拍ち 捲き起こす千堆の雪
江山如画 一時多少豪傑 ― 江山 画の如し 一時 多少の豪傑ぞ
人生如夢 一尊還酹江月 ― 人生 夢の如し 一尊 還た江月に酹がん
鑑賞
雄大な長江と三国の英雄への懐古、そして「人生夢の如し」という達観。宋詞の豪放派を代表する名作です。(抜粋)
日本で親しまれる理由
「人生如夢、一尊還酹江月」
語句
- 念奴嬌
- 詞の曲名
- 周郎
- 周瑜
- 千堆雪
- 白波のたとえ
- 酹
- 酒を地や水に注いで祭る
作者
蘇軾の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
元豊五年(1082年)、黄州に左遷されていた蘇軾の作。蘇軾が訪れた黄州の赤壁は、実際の古戦場とは別の地とされる。詞の訓読は一案。