せんとうこにはるかゆく銭塘湖春行
幾処早鶯争暖樹
誰家新燕啄春泥
乱花漸欲迷人眼
浅草纔能没馬蹄
※日本で一般に読まれている本文によります。長編のため、有名な部分を抜粋して掲載しています。
書き下し文
幾処の早鶯か 暖樹を争ひ
誰が家の新燕か 春泥を啄む
乱花 漸く人の眼を迷はさんと欲し
浅草 纔かに能く馬蹄を没す
現代語訳
あちこちで早起きの鶯が日だまりの木を奪いあい、どこの家の燕か、春の泥をついばんでいる。咲き乱れる花は次第に目を惑わせるほどになり、萌えだした草はやっと馬の蹄を隠すほど。
原文と書き下し文の対照
幾処早鶯争暖樹 ― 幾処の早鶯か 暖樹を争ひ
誰家新燕啄春泥 ― 誰が家の新燕か 春泥を啄む
乱花漸欲迷人眼 ― 乱花 漸く人の眼を迷はさんと欲し
浅草纔能没馬蹄 ― 浅草 纔かに能く馬蹄を没す
鑑賞
湖畔を歩けば、燕は泥を銜え、鶯は溶けた泥に啄ばむ。やがて花は人の目を惑わせ、草は馬の蹄を隠す——早春から盛春へ移る銭塘湖が、足取りどおりに見えてきます。
日本で親しまれる理由
「乱花漸欲迷人眼」。花が咲きみだれ、目移りしてしまう春
語句
- 銭塘湖
- 西湖の別名(杭州)
- 争暖樹
- 暖かい木をめぐって飛び交う
- 乱花
- 咲きみだれた花
作者
白居易の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
白居易が杭州刺史のころ、西湖の春を歩いて詠んだ七律の名高い一節。